技術者倫理とリスクマネジメント −事故はどうして防げなかったのか?−

事故・技術者倫理・リスクマネジメントについて詳解!

このような方におすすめ

・リスク管理関係者(技術者、技術経営者、研究者)
・「技術者倫理」授業学生
  • 著者中村 昌允 著
  • 定価2,200 (本体2,000 円+税)
  • A5 288頁 2012/02発行
  • ISBN978-4-274-06872-0
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本書は、技術者倫理、リスクマネジメントの教科書であるとともに、事故の発生について深い洞察を加えた啓蒙書です。技術者倫理・リスクマネジメントを学ぶ書籍の中でも、事故・事例などを取り上げ、その対処について具体的に展開するかたちをとっているユニークなものとなっています。

 原発事故、スペースシャトル爆発、化学プラントの火災などを事例として取り上げ、事故を未然に防ぐこと、起きた事故を最小の被害に防ぐことなど、リスクマネジメント全体への興味が高まっている中、それらに応える魅力的な本となります。

https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274068720/
第1章 技術者倫理はなぜ必要か?
第2章 リスクマネジメントとは何か
第3章 技術者と経営者
第4章 説明責任
第5章 危機管理
第6章 変更管理
第7章 事故とヒューマンエラー
第8章 製品事故と製造物責任
第9章 企業不祥事と技術者の行動
第10章 内部告発
第11章 技術者が期待されていること
目次
はじめに
本書の構成

第1章 技術者倫理はなぜ必要か?
 1.1 歴史から学ぶこと
 1.2 有機過酸化物によるメタノール蒸留塔爆発事故
  (1)事故の概要
  (2)爆発事故の構図
  (3)反省
  (4)リスクマネジメントの課題
  (5)事例から学ぶ教訓
 1.3 小型化洗剤の事業化
  (1)事業化に至る経緯とその後の状況
  (2)事業化提案のリスク
  (3)事業化提案の反省
  (4)教訓

第2章 リスクマネジメントとは何か
 2.1 リスクマネジメントと危機管理
 2.2 福島第一原子力発電所の事故の概要
 2.3 1号機から4号機の爆発に至る状況
 2.4 事故に至った問題点
  (1)なぜ、非常用発電機が稼働しなかったのか
  (2)海水注入を巡る問題
 2.5 リスクマネジメントから見た課題
  (1)原子力発電技術を日本に導入する際のリスクアセスメント
  (2)新たな事態への対応
  (3)『想定外』に対する備え
  (4)リスク評価方法の見直し
  (5)緊急時における意思決定
 2.6 教訓
 2.7 情報提供者としての専門家の責任

第3章 技術者と経営者
 3.1 技術者の現場判断
 3.2 スペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故
  (1)事故の概要
  (2)事故の背景
  (3)ロジャー・ボイジョリーの行動
  (4)ボイジョリーの行動の評価
  (5)ボイジョリーの提案はなぜ認められなかったか?
  (6)逸脱の正常化
  (7)なぜ、経営者は打ち上げ強行の判断をしたか?
  (8)NASAの問題
 3.3 シティコープビルの強度補強
  (1)事例の概要
  (2)ルメジャーの行動
  (3)ルメジャーとボイジョリー
  (4)建築強度偽装事件
 3.4 原子力発電所高圧配管破裂事故
  (1)事故の概要
  (2)なぜ、未点検のままになっていたか?
  (3)なぜ、次回の定期点検まで運転が継続されたか?

第4章 説明責任
 4.1 専門家の情報提供
 4.2 原子力発電における説明責任
  (1)『絶対安全』はなぜ生まれたのか?
  (2)原子力に関するリスクコミュニケーション
 4.3 化学物質の安全性
  (1)洗剤の安全性
  (2)発がん性物質の安全性
 4.4 牛海綿状脳症(BSE)
  (1)BSE騒動に関する問題点
  (2)BSEリスク
  (3)BSE検査に関する国際状況
  (4)ポイント

第5章 危機管理
 5.1 トラブルにどう対処するか
 5.2 集団食中毒事件
  (1)事件の概要
  (2)危機管理
  (3)停電トラブルに対する対応
  (4)なぜ、検査不合格品が使用されたか?
  (5)教訓
  (6)予防原則
 5.3 関連事例
  (1)J&J社の「タイレノール事件」
  (2)参天製薬『目薬』脅迫事件

第6章 変更管理
 6.1 トラブルや事故を防ぐには
 6.2 JCO臨界事故
  (1)事故の概要
  (2)製造工程の変遷と事故当日の作業
  (3)JCOの経営事情
  (4)この事故のポイント
  (5)改善提案に関する教訓
  (6)技術者倫理に関わる課題
  (7)教訓
 6.3 石油精製所水素製造装置の火災事故
  (1)事例の概要
  (2)ポイント
  (3)教訓

第7章 事故とヒューマンエラー
 7.1 人が起こす事故の背景にあるもの
 7.2 JR西日本福知山線脱線事故
  (1)事例の概要
  (2)JR西日本の経営課題
  (3)事故の背景要因
  (4)自動列車停止装置
  (5)リスクマネジメントの課題
  (6)「不安全行動」を容認する職場環境、企業風土
  (7)教訓
  (8)参考事例:交通事故による事故件数ならびに負傷者数、死亡者数の推移
 7.3 医療事故
  (1)大野病院事件
  (2)医師の責任をどのように考えるか?
  (3)医療行為は裁けるか?
 7.4 ヒューマンエラーと事故
  (1)人はなぜ不適切な行動をとるのであろうか?
  (2)日本と欧米との安全管理の考え方
  (3)事故調査体制について

第8章 製品事故と製造物責任
 8.1 製品安全に対する技術者の責任
 8.2 カビ取り剤
  (1)事故の概要
  (2)ポイント
  (3)対 策
  (4)教訓
  (5)参考事例?バルサン氷殺ジェット
 8.3 シュレッダー事故
  (1)事例の概要
  (2)ポイント
  (3)経済産業省の見解
  (4)誤使用の判断
  (5)開発者の責任
  (6)参考事例?こんにゃくゼリー
 8.4 自動回転ドア死亡事故
  (1)事故の概要
  (2)過去の事故発生状況
  (3)この事故のポイント
  (4)事故の背景要因
  (5)設計技術者の責任
 8.5 シンドラー社エレベーター事故
  (1)事故の概要
  (2)事故の背景要因
  (3)この事故のポイント
  (4)製造メーカーの技術者の課題
  (5)教訓

第9章 企業不祥事と技術者の行動
 9.1 個人としての判断をどう下すか
 9.2 三菱自動車リコール事件
  (1)事件の概要
  (2)ポイント
  (3)リコール回避について
  (4)なぜ、「整備不良」と発表したか?
  (5)三菱リコール事件のポイント
  (6)リコール制度について
  (7)教訓
 9.3 パロマ工業瞬間湯沸かし器事故
  (1)事故の概要
  (2)事故のポイント
  (3)パロマ工業の認識
  (4)パロマ工業の責任
  (5)製造メーカーに求められたこと
  (6)消費生活用製品安全法
 9.4 食品不祥事
  (1)不二家消費期限切れ牛乳使用事件
  (2)白い恋人
  (3)赤福
  (4)食品不祥事の教訓

第10章 内部告発
 術者はジレンマを克服できるか〜
 10.1 技術者の二つの立場
 10.2 内部告発事例
  (1)雪印食品牛肉偽装事件
  (2)トナミ運輸ヤミカルテル事件
  (3)首都高速道路公団事件
 10.3 内部告発の実情
  (1)アメリカは「警笛鳴らし」をどう見ているか?
  (2)日本における内部告発の状況
 10.4 内部告発の基準
 10.5 内部通報制度
 10.6 公益通報者保護法
 10.7 技術者と内部告発

第11章 技術者が期待されていること
 11.1 技術者倫理とは何か?
 11.2 技術者の社会的責任
  (1)マンハッタン計画と技術者の社会的責任
  (2)21世紀の科学技術
  (3)科学技術は完璧ではない
 11.3 説明責任と相互依存の関係
 11.4 技術者の行動に正解はあるか?
 11.5 安全とは何か?
 11.6 技術者の行動規範
  (1)技術に忠実に判断すること
  (2)科学技術の限界を知ること
  (3)結果について洞察すること
  (4)科学者・技術者である以前に市民であること
  (5)原則に立ち返る発想
 11.7 期待される技術者

さいごに
参考文献・参考資料
索引