身体運動の制御と適応 ―リハビリ・介護、ロボットへの応用―

人間の身体と神経性モデルの制御系がわかる本

このような方におすすめ

・人工知能(AI)、ロボットに関する研究開発を行っている研究者、大学院生 
・周辺読者:人工知能・ロボット関連の研究開発に携わるエンジニア
  • 著者伊藤 宏司 著
  • 定価4,950 (本体4,500 円+税)
  • A5 328頁 2020/03発行
  • ISBN978-4-274-22492-8
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高齢化が進む中、運動障害の予防とリハビリテーションには神経ネットワークと身体制御の関係性を医工学的につまびらかにする必要があり、これに関する国家プロジェクトも盛んに行われています。また、ロボティクス分野では、神経系と人間の身体の挙動のつながりを分析することで、より効率的なロボットの制御に生かす「身体知」という研究分野に関心が高まり始めています。

本書は、人間の身体と神経系のモデルを、システム制御論と同じ体系で工学的に捉えて、上記のような研究の流れに関心をもっている研究者へ向けて、順を追って解説する専門書としてまとめたものです。

https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274224928/
1章 序論
2章 システム基礎
3章 運動制御の神経機構I ― 高次運動系
4章 運動制御の神経機構II ― 運動実行系
5章 身体・空間・運動
6章 身体インピーダンス調節
7章 環境適応
8章 随意運動制御
9章 姿勢制御
10章 歩行制御
付録1 2関節6筋モデル
付録2 (三)半規管の動特性
1章 序論
 1.1 運動制御
 1.2 脳の可塑性
 1.3 モデル
 1.4 運動制御系のネットワーク構成
 1.5 本書の構成

2章 システム基礎
 2.1 システムと状態
  2.1.1 静的システム
  2.1.2 動的システム
  2.1.3 状態方程式と状態変数
 2.2 線形システム
  2.2.1 線形化
  2.2.2 線形システムの解
  2.2.3 2次系の状態軌道
 2.3 非線形システム
  2.3.1 平衡点
  2.3.2 閉軌道とリミットサイクル
  2.3.3 分岐
 2.4 入出力表現
  2.4.1 たたみ込み積分
  2.4.2 伝達関数と周波数応答
  2.4.3 基本的な伝達要素
 2.5 制御系の構成
  2.5.1 フィードフォワードとフィードバック
  2.5.2 フィードバックによる変動抑制
  2.5.3 2自由度系

3章 運動制御の神経機構I ― 高次運動系
 3.1 脳の機能構成
 3.2 感覚系
 3.3 頭頂連合野
 3.4 運動前野
  3.4.1 高次運動野
  3.4.2 背側運動前野(PMd)
  3.4.3 腹側運動前野(PMv)
  3.4.4 ミラーニューロン
 3.5 補足運動野・前補足運動野
 3.6 大脳基底核
  3.6.1 大脳皮質-基底核ループ
  3.6.2 内部構成
  3.6.3 報酬による行動学習
 3.7 小脳
  3.7.1 基本構成
  3.7.2 小脳神経回路
  3.7.3 小脳の適応・学習・予測機構
  3.7.4 小脳損傷による運動異常
 3.8 一次運動野
  3.8.1 一次運動野の入出力
  3.8.2 身体マップ
  3.8.3 運動野ニューロンと運動指令

4章 運動制御の神経機構II ― 運動実行系
 4.1 筋収縮と運動単位
 4.2 脊髄反射系
  4.2.1 伸張反射系
  4.2.2 腱反射系
  4.2.3 相反性神経支配
 4.3 介在ニューロン
  4.3.1 回路構成例
  4.3.2 Ia抑制性介在ニューロン
  4.3.3 Ib抑制性介在ニューロン 
  4.3.4 レンショウ細胞
 4.4 脊髄反射系の特性解析
  4.4.1 筋紡錘線形モデル
  4.4.2 伸張反射系の制御特性
  4.4.3 筋収縮の制御特性
  4.4.4 脊髄反射系の可変構造
 4.5 脊髄への下行路と運動調節
  4.5.1 下行路構成
  4.5.2 下行路による脊髄反射系調節
  4.5.3 脊髄-小脳ネットワーク
 4.6 運動制御ネットワーク

5章 身体・空間・運動
 5.1 運動と座標系
 5.2 身体運動学
  5.2.1 運動学
  5.2.2 身体リンク機構
  5.2.3 運動学変換
  5.2.4 冗長自由度
 5.3 感覚-運動統合
  5.3.1 中脳・上丘の感覚-運動変換
  5.3.2 頭頂野-運動前野ネットワークにおける感覚-運動統合
 5.4 感覚-運動変換の数理モデル
  5.4.1 基底関数
  5.4.2 ゲイン修飾
  5.4.3 空間変換

6章 身体インピーダンス調節
 6.1 作業・関節・筋空間の写像関係
  6.1.1 変位と力・トルクの写像
  6.1.2 運動自由度と写像
 6.2 筋骨格系のインピーダンス
  6.2.1 インピーダンス
  6.2.2 筋・脊髄反射系のインピーダンス調節機構
  6.2.3 手先インピーダンス
 6.3 作業・関節・筋空間のインピーダンス変換
  6.3.1 スティフネス変換
  6.3.2 慣性変換
 6.4 関節・筋インピーダンス調節

7章 環境適応
 7.1 内部ダイナミクスと外部ダイナミクス
 7.2 到達運動
 7.3 運動軌道
  7.3.1 手先・関節軌道
  7.3.2 仮想平衡点
  7.3.3 軌道生成
 7.4 環境適応
  7.4.1 内部モデル適応
  7.4.2 インピーダンス適応
  7.4.3 プログラム適応
  7.4.4 フィードバック適応

8章 随意運動制御
 8.1 内部モデル
 8.2 モデル内蔵システム
  8.2.1 順モデル
  8.2.2 内部モデル原理
  8.2.3 最適制御系
  8.2.4 状態推定
 8.3 小脳と内部モデル
  8.3.1 小脳神経回路の時空間表現
  8.3.2 小脳数理モデル
 8.4 最適フィードバック制御
  8.4.1 基本構成
  8.4.2 最適フィードバック制御の定式化
  8.4.3 到達運動への適用
  8.4.4 最適フィードバック適応と運動関連領野
 8.5 随意運動制御とフィードバック適応
  8.5.1 実時間フィードバック適応と最適フィードバック制御
  8.5.2 フィードバック適応の神経機構
 8.6 脳内シミュレーションネットワーク
  8.6.1 大脳-小脳並列ネットワーク
  8.6.2 運動野-小脳系
  8.6.3 運動前野-小脳系
  8.6.4 頭頂連合野-小脳系
  8.6.5 前頭連合野-小脳系
  8.6.6 大脳皮質-小脳-大脳基底核ネットワーク

9章 姿勢制御
 9.1 立位姿勢の力学
  9.1.1 体重心と床反力
  9.1.2 力学モデル
 9.2 立位姿勢の平衡安定
  9.2.1 線形フィードバック制御
  9.2.2 多変数フィードバック制御
  9.2.3 間欠PD制御
 9.3 姿勢制御の神経機構
  9.3.1 前庭系
  9.3.2 感覚統合
  9.3.3 姿勢制御ネットワーク
 9.4 予期的姿勢調節
  9.4.1 予期的姿勢調節とは
  9.4.2 基準座標
  9.4.3 具体例
  9.4.4 予期的姿勢調節と姿勢応答
 9.5 姿勢制御と上位中枢
  9.5.1 姿勢制御の課題
  9.5.2 大脳皮質・小脳・大脳基底核による姿勢制御

10章 歩行制御
 10.1 歩行運動
  10.1.1 移動制御系
  10.1.2 四足歩行
  10.1.3 二足歩行
 10.2 歩行制御の神経機構
  10.2.1 脊髄リズム生成
  10.2.2 中脳歩行誘発野
  10.2.3 感覚フィードバック
  10.2.1 上位中枢による歩行制御
 10.3 リズム生成
  10.3.1 相互抑制振動子
  10.3.2 ニュートラルオシレータ
  10.3.3 位相振動子
 10.4 筋シナジーと歩行制御
  10.4.1 モジュール構成
  10.4.2 筋シナジー
  10.4.3 筋シナジーの神経機構

付録1 2関節6筋モデル
付録2 (三)半規管の動特性