部品が小型化し、表面実装化や基板の多層化が進むと部品の表面積が減り、基板への接続が増えます。部品の熱は空気に逃げず、個々の部品の端子温度やパッケージ温度でひとつひとつ管理する必要があります。このため、熱設計により、試作なしで温度予測することが必要です。
本書は熱設計に関与している技術者を対象に、熱設計の考え方の基礎と応用(実践)を解説します。特に熱設計を行う上で必要な熱計算・熱解析についてその原理から応用までを詳説します。シミュレーションにあたってはExcelやフリーソフトを使って解説します。第2版では、ExcelとPythonを連携させて計算の高速化を実現する手法についての解説も盛り込まれています。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274232442/
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第1部 熱設計を始めよう
第1章 重要度が増す「熱マネジメント」
第2章 熱設計の基礎となる伝熱知識
第3章 電子機器に必要な伝熱の応用知識
第2部 Excelを使って温度を計算しよう
第4章 温度を予測するための3つのアプローチ
第5章 Excelを活用した伝熱計算の方法
第6章 Excelを使った応用計算例
第7章 Excelを使った流れの計算
第3部 熱回路網法で実務計算にチャレンジしよう
第8章 Excel VBAを使った熱回路網法プログラム例
第9章 熱回路網法で定常熱解析を行う
第10章 熱回路網法で過渡解析を行う
第11章 電子機器筐体のモデル化基板と部品のモデル化
第12章 熱回路網法を使ったさまざまな解析事例
第13章 流体抵抗網法
第4部 熱回路網法の製品適用を拡大しよう!
第14章 多層プリント基板の詳細解析
第15章 部品の発熱量推定
第16章 熱回路網マトリクス演算の高速化
第17章 ExcelとPythonの連携による計算の高速化
第5部 回路シミュレータを使った半導体パッケージの熱解析
第18章 回路シミュレータを使ってみよう
第19章 第3部の例題を解いてみる
第20章 半導体チップとパッケージ
第21章 温度が上昇する過程を追ってみよう
第22章 先端デバイスの放熱設計
はじめに
第1部 熱設計を始めよう
第1章 重要度が増す「熱マネジメント」
1.1 熱対策から熱解析、そして熱設計
1.2 「熱設計」がなかなか定着しない理由
1.2.1 伝熱現象が複雑なため手計算での温度予測が困難
1.2.2 熱設計にはトータル設計のアプローチが必要
1.2.3 「熱」をマネジメントする人材が育ちにくい
1.3 熱設計をサボるとどうなるか?
1.3.1 熱暴走する
1.3.2 熱疲労や劣化が進む
1.3.3 低温やけどする
第2章 熱設計の基礎となる伝熱知識
2.1 熱のオームの法則
2.2 熱設計は熱抵抗に始まり熱抵抗に終わる
2.3 熱伝導――温度を均一化するには熱伝導を使う
2.4 対流――空気の流れを作って面の平均温度を下げる
2.5 熱放射――表面状態を変えるだけで温度を下げる
2.6 物質による熱輸送――最も頼りになる「空気のベルトコンベア」
第3章 電子機器に必要な伝熱の応用知識
3.1 等価熱伝導率
3.2 広がり熱抵抗
3.3 接触熱抵抗
3.4 フィン効率
3.5 熱容量と熱時定数
第2部 Excel を使って温度を計算しよう
第4章 温度を予測するための3 つのアプローチ
4.1 伝熱の基礎式を合成して「電子機器用熱計算式」を導
4.2 熱回路網法で解く
4.3 数値解析ソフトを使う
第5章 Excel を活用した伝熱計算の方法
5.1 電子機器筐体の内部温度を求める
5.2 循環参照を許可して計算する
5.3 ゴールシークを使う
第6章 Excel を使った応用計算例
6.1 セラミックヒータの温度上昇(計算と実測の比較)
6.2 ジュール発熱による配線やバスバーの温度上昇
6.3 自然空冷筐体の内部温度計算
第7章 Excel を使った流れの計算
7.1 圧力損失
7.2 摩擦による圧損係数
7.3 流路変化による局所圧損係数
7.4 通風抵抗
7.5 流れと温度の統合計算例
第3部 熱回路網法で実務計算にチャレンジしよう
第8章 Excel VBA を使った熱回路網法プログラム例
8.1 Excel VBA を使って連立方程式を解く
8.2 VBA による熱回路網法プログラム
8.3 追加すると便利な機能
第9章 熱回路網法で定常熱解析を行う
9.1 アルミプレート上の発熱体の温度を求める
9.2 熱伝達率の非線形性を考慮した計算を行う
9.3 局所熱伝達率を用いて計算を行う
9.4 熱回路網によるパラメータの評価(サーマルビアの本数を決める)
第10章 熱回路網法で過渡解析を行う
10.1 VBA による非定常熱計算プログラム
10.2 放熱プレートの温度上昇カーブを求める
10.3 Excel 関数を使ったさまざまな条件設定(時間・温度制御)
第11章 電子機器筐体のモデル化基板と部品のモデル化
11.1 部品を2 節点でモデル化する
11.2 基板を等価熱伝導率でモデル化する
11.3 部品を基板に実装する
11.4 8 節点で密閉筺体をモデル化する
11.5 通風口やファンをモデル化する
第12章 熱回路網法を使ったさまざまな解析事例
12.1 物体の加熱(熱風加熱)
12.2 配管の断熱材
12.3 ペルチェモジュールによる冷却(TEC)
12.4 ペルチェモジュールによる発電量の計算(TEG)
第13章 流体抵抗網法
13.1 流体抵抗網のモデル作成方法
13.2 電子機器内の風量分布の計算
13.3 電子機器内の空気温度分布の計算
13.4 風量調整による温度の均一化
第4部 熱回路網法の製品適用を拡大しよう!
第14章 多層プリント基板の詳細解析
14.1 分割数を増やした放熱プレートの定常解析モデル
14.2 放熱プレートの過渡熱解析モデル
14.3 多層基板の熱回路モデル(1層)
14.4 多層基板の熱回路モデル(3層)
14.5 サーマルビアと部品形状
第15章 部品の発熱量推定
15.1 熱設計に重要な部品の発熱量
第16章 熱回路網マトリクス演算の高速化
16.1 熱回路データの自動作成
16.2 バンドマトリクス法による演算の高速処理
第17章 ExcelとPythonの連携による計算の高速化
17.1 Pythonの利用環境設定
17.2 Pythonによる熱回路網法プログラムの流れ
17.3 Pythonプログラムの実行(1)計算環境の設定
17.4 Pythonプログラムの実行(2)Excelデータの読み込み
17.5 Pythonプログラムの実行(3)データチェックと変換
17.6 Pythonプログラムの実行(4)熱伝導マトリクス組み立て
17.7 Pythonプログラムの実行(5)境界条件処理
17.8 Pythonプログラムの実行(6)マトリクス計算
17.9 Pythonプログラムの実行(7)結果をExcelに出力
17.10 計算結果と計算時間の比較
第5部 回路シミュレータを使った半導体パッケージの熱解析
第18章 回路シミュレータを使ってみよう
18.1 ソフト(体験版)のダウンロードとインストール
18.2 回路シミュレータに熱回路網を描いてみよう
18.3 回路、部品モデルの性質を覚えておこう
第19章 第3部の例題を解いてみる
19.1 アルミプレートの切断箇所と節点温度
19.2 アルミプレート節点温度の時間変化
19.3 周期的発熱と節点温度
19.4 部品モデルと節点温度
第20章 半導体チップとパッケージ
20.1 パッケージの内部構造と放熱経路
20.2 半導体パッケージの熱特性の測定方法
20.3 チップ温度の推定(チップ温度は思いのほかケース温度に近い)
20.4 熱流体解析を使ってθca, θba を精度よく求める方法
第21章 温度が上昇する過程を追ってみよう
21.1 トランジェント解析の実行
21.2 温度上昇カーブから熱抵抗と熱容量を算出する
21.3 ラダー回路の多段化による上昇曲線の精度向上
第22章 先端デバイスの放熱設計
22.1 温度上昇に伴って増加する発熱量
22.2 温度検出と発熱コントロール
22.3 放熱性を確保して熱暴走を防ごう
索 引