新宿区大久保に「軍艦マンション」と呼ばれる異形の複合ビルがある。その姿は不思議な魅力を湛え、建築界よりも一般からの人気が高い。このビルを設計したのは、「狂気の建築家」と呼ばれた渡邊洋治(1923〜1983年)である。渡邊は学歴のない非エリートで、個人事務所にもかかわらず多くの設計競技(コンペ)でエリート建築家やスーパーゼネコンと争うなど、日本近現代建築史において異彩を放つ人物である。その出自や奇行、意匠デザインの奇抜さから建築界からは敬遠されがちで、半ば忘れられた存在であった。しかし令和になって、渡邊の残した作品が徐々に存在感を増している。本書は、そんな渡邊の生涯を多くの関係者へのインタビューや調査から浮き彫りにし、彼の作品を現代に甦らせようと試みるものである。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274235009/
正誤表やDLデータ等がある場合はこちらに掲載しています
はじめに
第1章 もう一人のワタナベ ―渡辺邦夫の回想
第2章 誕生、そして出発(1923〜1947年)
第3章 「久米建築事務所」時代(1947〜1954年)
第4章 「早稲田大学 吉阪研究室」時代(1955〜1957年)
第5章 「渡邊建築事務所」前半期(1958〜1969年)
第6章 「渡邊建築事務所」後半期(1970〜1983年)
第7章 狂気の建築家
第8章 没後から現在(1983〜2025年)
おわりに
付章 伯父、渡邊洋治について ―佐藤武志
口絵(軍艦マンション、龍の砦、糸魚川善導寺、雪国の農家)
はじめに
第1章 もう一人のワタナベ ―渡辺邦夫の回想
第2章 誕生、そして出発(1923〜1947年)
軍艦が見えた海
建築との出会い
第3章 「久米建築事務所」時代(1947〜1954年)
一番生意気な人
航空母艦「新潟労災病院」(1958年完成)
第4章 「早稲田大学 吉阪研究室」時代(1955〜1957年)
地球人 ―吉阪隆正
運命の邂逅と吉阪研究室
真友 ―宮谷重雄
25mmの鉄筋を富士山麓にぶち込む男 ―重村力
ターニングポイント「ヴィラ・クゥクゥ」(1957年)
第5章 「渡邊建築事務所」前半期(1958〜1969年)
混沌こそエネルギー「奥多摩四部作」
仮面の中の凶暴性 ―相田武文
飛龍の寺「糸魚川善導寺」(1961年)
逃げ出した学生 ―内田啓一郎
大都会の砦「渡邊建築事務所(自邸)」(1962年)
建搦みの家「十里木の山荘(富士門田邸)」(1964年)
遺跡「井籠の家(宮田邸)」(1966年)
伝統を継ぐ者 ―池原義郎
五智の砦「雪国の農家(岩片邸)」(1967年)
コルビュジエを超えろ、「龍の砦(嶺崎邸)」(1968年)
棺を蓋いて事定まる ―栗生明
釈迦三尊の教え「最高裁判所庁舎」案(1969年)
奇妙な友情 ―森義純
第6章 「渡邊建築事務所」後半期(1970〜1983年)
鉄の軍艦「第三スカイビル」(1970年)
ハイテク建築 ―棚橋廣夫
孤高の塔「第五スカイビル」(1971年)
能の精神「空中配置の家(山崎邸)」(1971年)
独善的な理想家 ―楜沢成明
螺旋の形状「ポンピドゥー・センター」案(1971年)
潜水艦「斜めの家(田中邸)」(1976年)
鬼と仏の顔 ―大橋秀三
異端の翼、香港「ザ・ピーク」案
第7章 狂気の建築家
「鬼軍曹」と呼んだ浦辺鎮太郎
渡邊洋治と黒澤明
渡邊洋治の教育「毒注射」 ―小野正博
鬼畜米英 ―古市徹雄
早稲田大学専門学校
学生のための海外建築ツアー
造ることへのおそれ(渡邊洋治の建築観)
龍の造形
第八章 没後から現在(1983〜2025年)
おわりに
付章 伯父、渡邊洋治について ―佐藤武志
主な参考文献・資料