3.11以降、エネルギー・電気・発電全般への注目が高まっています。固定価格買取制度も始まり、再生可能エネルギーの導入も広がりをみせています。
それと同時に、「再生可能エネルギーはコスト高で国内産業の競争力を弱める」、「脈流のある不安定な電源で、既存の電力網との接続に課題がある」、「風力発電ではバードストライク、低周波騒音などの公害の問題が大きい」という報道も多く流れています。
この本は、再生可能エネルギーのなかの風力発電に的を絞り、世間の誤解と、その真の実力を、科学的かつ世界の最新の情報から論じていきます。今までに世間ではあまり知られてない、しっかりとした情報を元に、ちまたで論争となっている疑問・ポイントにズバリ答えます。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274069505/
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第1章 日本人が知らない世界の風力発電
第2章 風力発電にまつわる誤解と神話
第3章 系統連系にまつわる誤解と神話
第4章 誤解や神話を超えて
はじめに
目次
第1章 日本人が知らない世界の風力発電
1-1 躍進する世界、周回遅れの日本
1-2 日本は本当に環境先進国?
1-3 グローバルな情報をキャッチする
Column 電力と電力量、ついでに「発電量」のおはなし
第2章 風力発電にまつわる誤解と神話
2-1 風力発電は役に立たない?
■ 基幹電源と見なされる風力発電
■ 太陽光発電はメインストリームではない
■ 再生可能エネルギーはエネルギー戦略のカードの一つ
■ 風力発電の便益
Column 言葉がないのは思想がないのと同じ
2-2 風力発電は効率が悪くエネルギーの無駄づかい?
■ 効率は確かに低いが……
■ 設備利用率も確かに低いが……
■ エネルギー収支では優等生
2-3 風力発電がたくさん入ると電気代が上がる?
■ 各国の家庭用電気料金を比較してみると……
■ 産業用電気料金の国際比較から明らかになる事実
■ 風力発電が増えても電気料金は必ずしも上がるわけではない
2-4 日本にはもう風車を建てる余地がない?
■ 意外に風車だらけではないヨーロッパ
■ 日本は山がちで森も多いので風車は入らない?
■ 風車は農業や林業と共存できる
2-5 風力発電は日本には向かない?
■ インフラ設備と自然災害
■ 台風や雷に強い日本型風車の開発が進む
■ リスクマネジメントに基づく被害軽減対策
■ メンテナンスという不断の努力
2-6 風力発電は環境を破壊する?
■ バードストライク:目立つので槍玉に挙がりやすい風車
■ 低周波問題:「疫学的な証拠に裏付けられたものはない」とされているが……
Column なぜあの人と意見が異なるのか?
第3章 系統連系にまつわる誤解と神話
■ 日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識
3-1 風力発電は風まかせ?
■ 「変動電源」という考え方
■ そもそも、需要も変動する
Memo 【上級編】周波数制御について
■ 「集合化」という考え方
■ 「等価需要」という考え方
3-2 風力発電は不安定?
■ そもそも「安定な電源」は存在しない
■ 電力系統の安定度とは
■ 問題は、系統安定度を損ねないかどうか
Memo 【上級編】供給予備力について
3-3 風力発電はあてにならない?
■ 風力発電の変動を予測する
■ 予測技術の最先端はスペインにあり
■ 予測だけでなく、系統運用との融合が重要
■ ビジネスになる出力予測
3-4 風力発電に蓄電池は必要?
■ 風力発電の変動抑制に蓄電池を用いるのは不合理
■ 蓄電池は負荷側に置くことによって威力を発揮する
Column それを英語で言えますか?
3-5 風力発電が増えると停電が増える?
■ 停電という名の漠然とした不安
Memo 【上級編】供給支障事故と停電について
■ ブラックアウトの恐怖
■ 大規模停電と風力発電
3-6 ヨーロッパは連系線が多いから風力発電が入る?
■ ヨーロッパに対するステレオタイプなイメージ
■ 「柔軟性」という考え方
■ 国ごとに多様な「柔軟性」を持つヨーロッパ
■ 連系線が豊富なデンマーク
■ 実はコジェネでも頑張るデンマーク
■ 水力発電が風力を支えるポルトガル
■ アイルランドはガスタービンが頼り
3-7 日本は連系線が足りないので風力発電が入らない?
■ 日本の連系線容量は少なくない
■ 既存連系線はもっと活用できる
Column 「我が社のスマホは他社の10年前のケータイよりも優れてます」!?
第4章 誤解や神話を超えて
4-1 諸外国はどのように風力発電を進めてきたか?
4-2 導入目標はダイナミックに進化する
4-3 日本の進むべき道
あとがき
参考文献
索引