本書は数式を入れて解説した、数式嫌いでない人のための経済学の入門書です。計算主体ですが経済数学の本、いわゆる数学を学ぶ本ではありません。経済の問題を数式で解くことで経済学の基礎を理解し、経済学の全体像を理解することができます。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274221361/
正誤表やDLデータ等がある場合はこちらに掲載しています
はしがき
序 章 経済学部はなぜ理系でないのか
第1章 経済学で数学はどう使われているか
第2章 家計の最適化行動
第3章 企業行動と完全競争市場
第4章 不完全競争市場
第5章 市場の失敗と公的介入
第6章 マクロ経済:短期の分析
第7章 マクロ経済:長期の分析
第8章 マクロ・ダイナミックス
第9章 世代と経済学
第10章 経済学の将来
用語解説
はしがき
序章 経済学部はなぜ理系でないのか
1 経済学とはそもそもなにを学ぶのか
・経済学の基本理念
・経済合理行動
・インセンティブ(誘因)とコスト(費用)
・仮定の設定
・経済分析の方法と目的
2 ミクロ経済学とマクロ経済学の違い
・ミクロ経済学とマクロ経済学
・応用経済学
3 経済学部はなぜ理系でないのか
・自然科学に似た学問体系テイラー展開
・社会科学としての経済学
第1章 経済学で数学はどう使われているか
1 制限付きの最適化問題
・経済合理性の定式化
・微分と経済学
・全微分と偏微分
・目的関数と制約式
・制約付きの最大化問題
2 内生変数と外生変数
・理論モデルと変数
・理論モデルのもっともらしさ
3 動学的モデル分析
・定差方程式と微分方程式
・動学モデルでの制約付き最適化問題
・位相図
4 経済学で有益な定理や概念
・行列式と確率変数
・クラメルの公式
・比較静学分析
・テイラー展開
・正規分布
・等比数列
・準凹関数
・コブ=ダグラス関数
・参考文献
第2章 家計の最適化行動
1 消費配分行動の理論
・家計の消費配分行動
・2財の配分の選択
・代替効果と所得効果
・無差別曲線による説明
・費用最小化問題
・スルーツキー方程式
・劣等財
・価格変化による代替効果
・ギッフェン財
・クロスの代替効果
・価格弾力性と所得弾力性
2 労働供給の決定
・賃金率と労働供給
・数式による式化
・賃金率の変化
・効用関数の特定化
・所得税と労働供給
3 消費と貯蓄
・家計の消費・貯蓄行動
・消費・貯蓄決定の2 期間モデル
・貯蓄と利子率
・所得控除できる所得税
・参考文献
第3章 企業行動と完全競争市場
1 企業と生産活動
・企業の目的
・利潤最大化と費用最小化
2つの生産要素と費用関数
・平均費用と限界費用
・サンクコスト
2 完全競争市場
・完全競争市場での企業行動
3 完全競争での市場メカニズム
・プライス・テーカー
・競り人
・価格の調整メカニズム:数式による定式化
・クモの巣の理論
・一般均衡モデル
4 完全競争市場のメリット
・市場取引の利益
・厚生経済学の基本定理
・見えざる手
・代表的なミクロ経済学者
第4章 不完全競争市場
1 独占市場
・独占企業の行動
・数式による説明
・独占度
・図による説明
・価格差別化
・独占の弊害
2 寡占
・寡占と複占
・複占競争のモデル分析
・カルテル
3 ゲーム理論
・ゲーム理論の特徴
・ナッシュ均衡
・動学的なゲーム
・部分ゲーム完全均衡
・凶悪犯罪と死刑
・逢い引きのディレンマ:再考
・ゲーム理論の経済学者
第5章 市場の失敗と公的介入
1 外部不経済
・市場の失敗
・生産活動における外部性
・市場の失敗への対策:ピグー課税
・ピグー課税と利益の分配
・市場の創設
・実際の排出権取引
2 補償メカニズム
・補償ルールの設定
・直感的な説明
3 コースの定理
・企業1 に環境汚染権があるケース
・企業2 に環境維持の権利があるケース
・コースの定理とその応用例
4 公共財
・公共財のモデル分析
・公共財の最適供給:サムエルソンのルール
・公共財の自発的供給:ナッシュ均衡
・ナッシュ均衡の効率性
・ナッシュ均衡とただ乗りの可能性
・シュタッケルベルク均衡
・非協力交渉ゲーム
5 課税の効率性
・一括固定税との比較
・超過負担の定式化
6 所得再分配機能
・所得格差
・リスクと再分配
・リスク回避と課税
・政府がすべての所得の変数を観察できるケース
・政府が総所得しか観察できないケース
・市場の失敗と経済学者
第6章 マクロ経済:短期の分析
1 GDP
・GDP の概念
・GDP(国民所得)の決定
2 財政政策と乗数
・政府支出乗数
・税制の自動安定化装置
・減税の乗数効果
・均衡予算乗数
3 IS=LM モデル
・IS 曲線
・オイラー方程式と利子率
・貨幣の役割
・LM 曲線
・一般均衡モデル
・IS=LM モデルでの財政政策
・IS=LM モデルでの金融政策
・数式による政策効果分析
4 金融政策とマクロ経済
・金融政策の3つの手段
・貨幣の信用創造乗数
・貨幣供給のコントロール
5 マクロ政策の評価
・評価のポイント
・財政金融政策の有効性
・適切なタイミング
・中央銀行の独立性
6 IS=LM 分析の再検討
・IS 曲線のミクロ経済的基礎
・ニュー・ケインズ・モデル
・政府の行動
・マクロ財市場の均衡
・政府支出拡大の効果
7 新古典派マクロ・モデル
・分析の目的
・異時点間の最適化モデル
・一時的支出と恒常的支出
・一時的支出増の効果
・恒常的支出増の効果:その1
・恒常的支出増の効果:その2
・政府支出の代替効果
・政府支出の生産に与える効果
・代表的なマクロ経済学者
第7章 マクロ経済:長期の分析
1 ハロッド・ドーマー・モデル
・適正成長率
・支出成長率
・ナイフの刃
・財政金融政策の効果
2 ソロー・モデル
・基本方程式
・財政金融政策の効果
・黄金律
・成長会計と技術進歩
3 最適成長モデルと政府支出
・標準的な最適成長モデル
・政府支出の効果:恒常的拡大
・政府支出の最適規模
4 内生的成長モデル
・内生的な経済成長
・成長率と政府の大きさ
・マクロ経済学者
第8章 マクロ・ダイナミックス
1 景気循環とマクロ経済変動
・景気循環とは
・加速度原理と乗数の相互作用
・式と図による説明
・投資行動と景気循環
・景気対策の意味
2 均衡循環理論
・新古典派の景気循環論
・貨幣的要因の景気循環論
・現金制約モデル
・実物的景気循環理論
・モデルによる定式化
・内生的循環モデル
3 資産価格とバブル
・株価の配当仮説
・数式による定式化
・株式市場の効率性
・配当仮説とバブル
・一般物価水準と貨幣供給
・経済変動の経済学者
第9章 世代と経済学
1 公債発行と課税
・世代重複モデル
・課税調達の場合
・公債調達の場合
・位相図による分析
・公債の負担とはなにか
2 中立命題
・リカードの中立命題
・バローの中立命題
・理論的な論争
3 財政破綻
・財政の持続可能性
・政府の予算制約式
・金利形成と財政危機
・非ケインズ効果
・世代の経済学者
第10章 経済学の将来
1 自然科学への接近
・経済学と自然科学
・経済学の有効性
・経済合理性への批判
・行動経済学と実験経済学
2 経済物理学
・物理学との対比
・物理学の有用性
3 データの有効性
・データの分析
・経済学の将来
用語解説