本書は、ヒルベルト空間の基礎事項から始め、ヒルベルト空間上の線型作用素論に関する諸理論を、作用素論の全貌が見渡せるようわかりやすく解説するものです。さらに特論として、作用素論に関する最近の話題に言及しています。付録には、読者の理解を助けるべく、本書に関連する関数解析学の定理を詳解しました。
近年注目されている量子コンピュータや量子通信といった量子情報理論は、量子力学を基礎としていますが、その量子力学の数学的定式化は、ヒルベルト空間論や線型作用素論に基づきます。また、機械学習や統計的学習の数理的な裏付けである再生核ヒルベルト空間の理論は、本書の内容が基礎となります。そのため、数学・物理学方面の理学系の学生・研究者はもとより、量子情報の研究者・学生にも役立つ内容となっています。
※本書は、『数理情報科学シリーズ10 ヒルベルト空間と線型作用素』(牧野書店)を、オーム社より発行するものです。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274227561/
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第1章 ヒルベルト空間
第2章 ヒルベルト空間上の線型作用素
第3章 スペクトル分解
第4章 ヒルベルト空間上のコンパクト作用素
第5章 作用素単調関数と作用素平均
第6章 作用素特論
付録 いくつかの基本定理
文献ノート
参考文献
第1章 ヒルベルト空間
1.1 ヒルベルト空間の基本性質
1.2 有界線型作用素と有界線型汎関数
1.3 一様有界性定理、開写像定理、閉グラフ定理
演習問題1
第2章 ヒルベルト空間上の線型作用素
2.1 基本的な有界作用素
2.2 作用素の極分解
2.3 非有界線型作用素
演習問題2
第3章 スペクトル分解
3.1 作用素のスペクトル
3.2 有界作用素のスペクトル分解
3.3 非有界作用素のスペクトル分解
演習問題3
第4章 ヒルベルト空間上のコンパクト作用素
4.1 コンパクト作用素
4.2 シャッテン・クラス作用素
演習問題4
第5章 作用素単調関数と作用素平均
5.1 作用素単調と作用素凸
5.2 作用素平均
演習問題5
第6章 作用素特論
6.1 フレドホルム理論
6.2 ダイレーション理論
6.3 サブ正規作用素
6.4 バナッハ空間上の測度
演習問題6
付録 いくつかの基本定理
A.1 ハーン-バナッハの定理
A.2 リース-マルコフ-角谷の定理
A.3 クレイン-ミルマンの定理
A.4 ストーン-ワイエルシュトラスの定理
A.5 ゲルファンド-ナイマルクの定理
文献ノート
参考文献
索引