日本はいま、新たな国土・都市計画のコンセプトを必要としている。彼は、21世紀=「都市の時代」を先取りしていた――。
膨れ上がる人口、郊外化する地方、足りなくなる土地、パンクする交通…。
戦後日本の「爆発的に成長する都市」において実践された、都市を有機的・動態学的に捉える方法論とは――。
浅田孝は、南極昭和基地を設計し、横浜市の都市計画の骨格をつくり、世界デザイン会議や大阪万博、沖縄海洋博をプロデュース、さらには四国に橋(瀬戸大橋)をかける提案をした人物として知られています。本書では、分野の垣根を超えた多岐にわたる浅田の仕事をそれぞれ評価軸を設定した章で構成し、多視点的に描き出しています。
かつてないほど人口が膨れ上がった戦後の日本において、「都市とはどうあるべきか」に真正面から立ち向かった浅田孝の姿は、人口減少、縮小時代といわれている今の日本にとっても大きな示唆を与えるものとなるでしょう。直筆のスケッチや浅田が大事にしていたアルバム等の貴重資料を多数収録、付録には環境開発センターOB/OGによる寄稿集を掲載しています。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274215384/
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序(田村明の講演録収録)
第一章 建築家浅田孝
第二章 廃墟を見た国土・都市プランナー
第三章 思想的プロデューサー
第四章 「環境開発」の創造
第五章 浅田の思考をトレースする
[付録] 寄稿集:浅田の話をしよう
氏家隆正/伊久美嘉男/二宮公雄/山室紀世子/加川浩/
井上三芳/浅田真理
序(田村明の講演録収録)
第一章 建築家浅田孝
《1》 東京大学丹下健三研究室
《2》 南極昭和基地を設計する
《3》 子供に環境を伝える:こどもの国と香川県五色台
《4》 建築批評
《5》 未来の建築家を招く:コンラッド・ワックスマン
《6》 異端の建築家
第二章 廃墟を見た国土・都市プランナー
《1》 マスタープランからマスタープログラムへ
《2》 横浜の都市を構想する
《3》 新しい土地をつくる:坂出人工土地
《4》 四国に橋を架ける
《5》 人間を中心とした新交通システム
《6》 三公の原則:市民を中心に都市を描く
《7》 地方都市から地域都市へ
《8》 廃墟を見た都市プランナー
第三章 思想的プロデューサー
《1》 世界デザイン会議:メタボリズム・グループの誕生
《2》 博覧会をプロデュース
《3》 都市政策のプロデュース:美濃部都政
《4》 知的活動センターをつくる
《5》 浅田スケール
《6》 座談の名人
第四章 「環境開発」の創造
《1》 文明的視点
《2》 環境開発を標榜する
《3》 科学としての環境開発
《4》 環境開発センター
第五章 浅田の思考をトレースする
《1》 在野の美学
《2》 浅田直筆スケッチ集
[付録] 寄稿集:浅田の話をしよう
環境開発センター設立前後の頃 氏家隆正
香川県観光総合計画 伊久美嘉男
都市プランナー浅田孝と横浜・東京 二宮公雄
今日無事 山室紀世子
浅田孝と五色台 加川浩
浅田孝の地域開発の理念 井上三芳
浅田孝 環境をプログラムした都市プランナー 浅田真理