本書は、ぬいぐるみなどの手芸作品を題材として、コンピュータグラフィックスの基礎やシミュレーションを用いたものづくりについて解説する書籍です。
ぬいぐるみの型紙づくりやビーズ細工のデザイン制作などには、「立体を平面に変換しなければならない」「最初から最後まで一本の糸で編めるようにしなければならない」などの制約があります。筆者は、そういった制約をアルゴリズムやシミュレーションによって解決することで、ユーザがインタラクティブにデザインを行えるソフトウェアの開発を行ってきました。本書では、そういったビーズ細工のデザインやぬいぐるみの型紙生成などを支援するソフトウェアを題材に、画像形式などのCGの初歩的知識をはじめとして、モデリング・レンダリング・シミュレーションなどの考えかたを学ぶことができます。本書を通読すれば、CGを用いた課題解決について新しい知見が得られるでしょう。
CGを使ったものづくり(デジタルファブリケーション)を行っている人にはもちろん、CGの数理的側面に苦手意識を抱いている方や、CGを使った新しいサービスやアプリケーション、研究テーマなどを探している人におすすめです。
<本書の特徴>
・編みものやビーズ細工などの手芸を題材として、コンピュータグラフィックの基礎が学べます。
・随所にシステム開発に関連するコラムが挿入されており、CGを使った課題解決の考えかたを学ぶことができます。
・第8章では、Blenderを使ってモデリングを行います。解説どおりに手を動かすことで、実際に簡単なモデリングを体験できます。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274227172/
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Chapter 0 手芸とデジタルファブリケーション
Chapter 1 ステンシル×画像表現
Chapter 2 パッチワーク×陰影処理
Chapter 3 あみぐるみ×形状表現
Chapter 4 ぬいぐるみ×物理演算
Chapter 5 カバー×集合演算
Chapter 6 ビーズ細工×経路計画
Chapter 7 設計製作支援×拡張現実
Chapter 8 Blenderでモデリングしてみよう
はじめに
目次
Chapter 0 手芸とデジタルファブリケーション
0-1 ものづくりとコンピュータ
0-2 2次元CGと3次元CG
0-3 この本でできること
Chapter 1 ステンシル×画像表現
1-1 ステンシルのつくりかた
1-1-1 一般的なつくりかた
1-1-2 コンピュータを用いたつくりかた
1-2 ステンシルと2つの画像形式
1-2-1 ベクタ表現
1-2-2 ラスタ表現
1-2-3 異なる2つの表現方法を組み合わせたHollyシステム
COLUMN 1 ブーリアン演算
1-3 模様を自由に動かす
1-3-1 平行移動
1-3-2 拡大・縮小
1-3-3 回転移動
1-3-4 2次元アフィン変換と同次座標
1-4 カッティングプロッタで出力できるようにする
1-4-1 ラスタ表現からベクタ表現への変換
1-4-2 マーチングスクエア法
COLUMN 2 子どもたちがつくったステンシルシート
1-5 バラバラの線を1つにつなげる
1-6 カットすると抜け落ちてしまう「島」を検出する
1-6-1 Flood-Fillアルゴリズム
1-7 最小木を構築して1枚のシートにつなげる
COLUMN 3 Hollyが生まれたきっかけは?
Chapter 2 パッチワーク×陰影処理
2-1 パッチワークのつくりかた
2-1-1 一般的なつくりかた
2-1-2 コンピュータを用いたつくりかた
2-2 ユーザが描いた線をきれいにする
2-3 ステッチのラインを計算する
2-3-1 入力ストロークの向きの統一
2-3-2 入力ストロークに対する法線ベクトルの計算
2-4 画像や色で領域を塗る
2-5 ぷくっと膨らんだ質感をつくる
2-5-1 擬似的な法線ベクトルを計算する
2-5-2 各ピクセルの色を決定する
Chapter 3 あみぐるみ×形状表現
3-1 あみぐるみのつくりかた
3-1-1 一般的なつくりかた
3-1-2 コンピュータを用いたつくりかた
3-2 あみぐるみと3つのモデリング体系
3-2-1 ワイヤーフレームモデル
3-2-2 サーフェスモデル
3-2-3 ソリッドモデル
3-3 あみぐるみの形を知る――頂点・辺・面
3-4 あみぐるみの形をつくる――3次元形状の表現
3-4-1 基本図形の組み合わせでつくる
3-4-2 スイープ形状でつくる
3-4-3 あみぐるみ形状モデルのつくりかた
COLUMN 4 3次元モデル表面上の距離
3-5 あみぐるみの見た目をつくる――テクスチャ表示
COLUMN 5 中心線抽出アルゴリズム
3-6 あみぐるみを操作する
3-6-1 右手系と左手系
3-6-2 3次元モデルの平行移動、回転・縮小、回転移動
COLUMN 6 あみぐるみづくりのワークショップの様子
Chapter 4 ぬいぐるみ×物理演算
4-1 ぬいぐるみのつくりかた
4-1-1 一般的なつくりかた
4-1-2 コンピュータを用いたつくりかた
4-2 ぬいぐるみの形を編集する――位相について
4-2-1 新規モデルの生成
4-2-2 スイープ面での切断
4-2-3 2種類の突起生成
COLUMN 7 バルーンアート
COLUMN 8 支援システムで支援するということ
4-3 ぬいぐるみを分解する――平面展開
COLUMN 9 ぬいぐるみのための自動縫い目挿入
4-4 ぬいぐるみの模様や色を再現する−テクスチャマッピング
COLUMN 10 ふさふさレンダリングと演算
4-5 ぬいぐるみの形を再現するー物理シミュレーション
COLUMN 11 ちいさなミスから生まれた発見
Chapter 5 カバー×集合演算
5-1 カバーのつくりかた
5-1-1 一般的なつくりかた
5-1-2 コンピュータを用いたつくりかた
5-2 カバーの形を決める――凸包形状
5-2-1 ギフトラッピング法
5-2-2 リサンプリング
COLUMN 12 3次元モデルの用意のしかた
5-3 カバーを型紙に展開する――領域分割
5-4 縮めずに平面展開する――Shrink-free Flattening
5-5 よりフィットした形状をつくる――点群処理とクラスタリング
5-5-1 クラスタを広げる――Geometry Partitioning
5-5-2 クラスタの中心を更新――Cluster Fitting
5-6 取り出し口デザインのための物理計算
5-6-1 取り出し口の移動
COLUMN 13 3次元モデルの洋服を動かす
5-6-2 全体のリラクゼーション
5-6-3 終了条件
COLUMN 14 赤ちゃんの洋服デザイン
Chapter 6 ビーズ細工×経路計画
6-1 ビーズのテディベアのつくりかた
6-1-1 一般的なつくりかた
6-1-2 コンピュータを用いたつくりかた
COLUMN 15 既存ビーズの観察
6-2 ビーズ細工における制約とデザイン
6-2-1 ジェスチャー入力による形状デザイン――オイラーの多面体定理
6-2-2 すべての辺の長さが等しい多面体を保つために――シミュレーション
6-2-3 見た目をデザインする
COLUMN 16 なぜ辺をビーズにしたのか
6-3 つくりやすい経路を求める
6-3-1 一筆書きできる経路の生成――オイラーグラフ
6-3-2 面を1つずつつくり終えていく――ハミルトンパス
COLUMN 17 ワークショップでの声
6-4 既存モデルからビーズ細工をデザインする
6-4-1 突起を残したメッシュリダクション
6-4-2 双対変換
6-5 写真のようにかっこよく見せる――レンダリング
6-5-1 投影技法
6-5-2 陰面消去
6-5-3 シェーディング(影付け)
6-5-4 ファイル形式
COLUMN 18 ファブリケーションでは実世界のものと一緒に写真を撮る
Chapter 7 設計製作支援×拡張現実
7-1 ネックレス×進化計算
7-2 かご編み×AR
7-2-1 直方体形状デザイン
7-2-2 円筒形状デザイン
COLUMN 19 デザインの試行錯誤
7-3 木目込み細工×3Dプリンタ
7-4 ストリングアート×LEDライト
7-5 ボンボン手芸×WEBカメラ・スマートウォッチ
7-6 羊毛フェルト×スマートグラス
COLUMN 20 技術の進歩とアイデア
Chapter 8 Blenderでモデリングしてみよう
8-1 モデリングをするのにどんなツールがあるの?
8-1-1 Metasequoia(メタセコイア)
8-1-2 SketchUp(スケッチアップ)
8-1-3 Tinkercad(ティンカーキャド)
8-1-4 Fusion 360(フュージョン360)
8-1-5 Meshmixer (メッシュミキサー)
8-2 Blenderをインストールしてみよう
8-3 Blenderでモデリングをしてみよう
8-3-1 視点の変更のしかたを設定
8-3-2 球から頂点を引っ張り変形させて、頭・身体をつくってみよう
8-3-3 頂点から辺・面を作成して、耳をつくってみよう
8-3-4 メッシュの細分化を利用して、くちばしをつくってみよう
8-3-5 面を削除追加しながら、羽根をつくってみよう
8-3-6 対称性を利用して、足をつくってみよう
おわりに
Blender操作早見表
索引