本書は、Cambridge Univ. Press発行の” Structured Surfaces as Optical Metamaterials”の翻訳書です。 2000年頃から、光やマイクロ波領域における電磁波に対するメタ材料(その物理的構造により特殊な光学的特性が得られる人工ナノ構造材料)が注目を集めています。特に通常の誘電体や金属材料に特殊なナノ構造を表面に作り込むことによって、自然界には存在しない「負の屈折率・誘電率・透磁率」などの未知の電磁波現象・光学現象が発現することから、従来の“光学の概念”を変革する発見としてその具体化が急ピッチです。本書では、特にメタ材料の表面における光学現象に焦点をあてて、メタ材料の概念を解説し、その研究状況と解析/設計に関する最新の研究成果をまとめています。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274505164/
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第1章 サブ波長空孔アレイを通る異常透過の物理
第2章 ナノ多孔質金属表面の共振光学特性
第3章 2次元プラズモンナノ粒子アレイと光波の相互作用
第4章 平面型メタ材料のキラル性と異方性
第5章 周期構造による光負屈折率を用いる新光デバイス
第6章 構造化表面による光電界の変換
第7章 構造化した完全導体平面上の表面電磁波
第8章 原子的に平坦なプラズモン構造を用いる負屈折
第9章 表面形状に相関無秩序を持つ導波路における異常透過
第10章 遮蔽
第11章 共振表面ポラリトン波の線型・非線型現象とその応用
略語表
訳者あとがき
付録:カラー図面集
第1章 サブ波長空孔アレイを通る異常透過の物理
1.1 回折格子の異常効果と表面プラズモン波の歴史
1.2 単一境界における表面波の一般論
1.3 異常透過率とその最初の説明
1.4 消衰モードの役割
1.5 消衰モードによるFabry-Perot共振の増強
1.6 主要な共振とは?
1.7 ナノプラズモンの寄与
1.8 むすび
・参考文献
第2章 ナノ多孔質金属表面の共振光学特性
2.1 まえがき
2.2 球形空胞を持つ金属表面の光学共振特性
2.3 自己無撞着な電磁気モデル−散乱行列による層KKR法
2.4 ナノ多孔質金属表面の光学スペクトル
2.5 ナノ構造金属表面における完全光吸収
2.5.1 等価共振RLC回路モデル
2.5.2 完全光吸収の一般条件
2.5.3 ナノ多孔質金属表面による無指向性吸収
・参考文献
第3章 2次元プラズモンナノ粒子アレイと光波の相互作用
3.1 まえがき
3.2 2次元ナノ粒子の平面波励起−理論解析
3.2.1 TE励起
・周期的表面の平均化表現
・パワーの平衡
・共振条件
3.2.2 TM励起
・周期アレイの平均化表現
・パワーの平衡
3.3 数値結果と設計原理
3.3.1 TE偏光−無損失ナノ粒子
3.3.2 TE偏光−実際の吸収レベル
3.3.3 TM偏光−実際の吸収レベル
3.4 むすび
・参考文献
第4章 平面型メタ材料のキラル性と異方性
4.1 まえがき
4.2 一般の平面型メタ材料
4.2.1 無損失の相補的平面型メタ材料
4.2.2 2次元非キラル平面型メタ材料
4.2.3 非キラル平面型メタ材料への垂直入射
4.2.4 2回回転対称性と垂直入射
4.3 定義
4.3.1 散乱および透過行列における別の変数
4.3.2 偏波状態
4.4 偏波効果
4.4.1 斜め入射における光学活性
4.4.2 円偏波変換二色性
4.4.3 直線偏波変換二色性
4.4.4 直線偏波複屈折性と二色性
4.5 固有状態
4.5.1 純光学活性における固有状態
4.5.2 光学活性がない場合の固有状態
4.6 エネルギー保存
4.6.1 無損失の平面型メタ材料
4.6.2 直線偏波複屈折/二色性を持たない無損失の平面型メタ材料
4.7 応用とその限界
4.7.1 減衰器,ビーム分岐器,反射鏡,および自由空間
4.7.2 直線偏波素子
4.7.3 波長板
・無損失の波長板
4.7.4 偏波回転素子
・無損失の偏波回転素子
4.7.5 円偏波素子
4.8 垂直入射
4.8.1 非キラル平面型メタ材料への垂直入射
4.8.2 垂直入射における等方性平面型メタ材料
4.8.3 無損失の平面型メタ材料−垂直入射または2回回転対称性
4.9 むすび
・付録:壁紙群
・参考文献
第5章 周期構造による光負屈折率を用いる新光デバイス
5.1 まえがき
5.2 選択回折による可視光とマイクロ波の負屈折
5.3 平凹回折格子レンズによるマイクロ波の収束
5.4 光領域における平凹回折格子レンズ
5.5 表面回折格子を持つ多層構造によるAANRと負の横方向シフト
5.6 表面の波状構造による2次元フォトニック結晶のAANR
5.7 大きなσを持つ平面レンズ結像
5.8 議論とむすび
・参考文献
第6章 構造化表面による光電界の変換
6.1 まえがき
6.2 ビーム成形
6.2.1 透過電界
6.2.2 逆問題
6.2.3 ビーム成形
6.2.4 実例
6.2.5 3角ファセットで形成した表面の作製
6.2.6 周波数平均によるアンサンブル平均の置き換え
6.3 擬似非回折ビーム
6.3.1 透過電界
6.3.2 逆問題
6.3.3 光軸から半径方向の平均強度の3次元分布
6.3.4 擬似非回折ビーム
6.3.5 円形対称で半径方向にランダムな表面の作製
6.3.6 周波数平均によるアンサンブル平均の置き換え
6.4 議論とむすび
・付録
・参考文献
第7章 構造化した完全導体平面上の表面電磁波
7.1 まえがき
7.2 理論の定式化−モード結合理論
7.3 平面形状
7.3.1 微細構造化した表面
7.3.2 細孔をあけたスラブ
7.4 円筒形状
7.5 擬似SPPを用いるテラヘルツ導波路
7.5.1 溝加工をした細線
7.5.2 らせん状の溝を持つ細線
7.5.3 波状構造を持つチャンネル
7.5.4 波状構造付きのくさび
7.5.5 ドミノ構造
7.6 むすび
・参考文献
第8章 原子的に平坦なプラズモン構造を用いる負屈折
8.1 まえがき
8.2 物理
8.3 表面プラズモン波における全角度負屈折
8.4 全角度負屈折と消衰波増幅
8.5 関連研究
・参考文献
第9章 表面形状に相関無秩序を持つ導波路における異常透過
9.1 まえがき
9.2 波状構造表面を持つ導波路
9.3 単一モード構造
9.4 決められた相関を持つランダムな表面形状の設計−畳み込み法
9.5 Gauss型相関
9.6 選択型透過の二つの相補的実例
9.6.1 実例 1
9.6.2 実例 2
9.7 ランダムな狭帯域反射器
9.8 多モード導波路
・参考文献
第10章 遮蔽
10.1 まえがき,背景,歴史
10.2 「遮蔽」,「黒さ」,「偽装」の違い
10.2.1 インピーダンス整合
10.2.2 強い吸収を持つ無反射表面
10.2.3 偽装
10.3 変換光学と光メタ材料
10.4 誘電定数,比誘電率,および屈折率
10.5 負屈折率材料
10.6 一般化伝送線路と後進波システム
10.7 遮蔽の変換光学と光線光学
10.7.1 球型遮蔽
10.7.2 円筒型遮蔽
10.7.3 均質な等方性遮蔽
10.7.4 任意形状の遮蔽
10.7.5 遮蔽の境界条件
10.7.6 遮蔽における光線の動特性
10.7.7 光線のHamilton光学
10.7.8 不均質な異方性材料における光線と波の行路
10.7.9 可視光に対する非磁性遮蔽
10.8 遮蔽の共形変換
10.9 誘電体被覆に入る光線の動力学
10.10 実際の遮蔽実験
10.10.1 マイクロ波遮蔽
10.10.2 可視光の遮蔽
10.11 散乱補償による「遮蔽」−プラズモン遮蔽
10.12 絨毯遮蔽
10.13 テーパ型導波路を用いるメタ材料のエミュレーション
10.14 閉じ込められた虹
10.15 実際の遮蔽における限界
10.16 将来展望
・参考文献
第11章 共振表面ポラリトン波の線型・非線型現象とその応用
11.1 まえがき
11.2 2次元の表面プラズモンモード−簡単な解析
11.2.1 均質導波路と界面
11.2.2 光導波路におけるGoos-Hanchenシフト−光線光学の手法
11.2.3 表面モード
・標準的な表面プラズモンの場合−金属と誘電体の界面
・メタ材料と誘電体の界面
・メタ材料と金属の界面
11.2.4 周期パターンを持つ界面
11.2.5 自立した金属周期構造
11.2.6 エネルギーの考察,分散,および損失
・時間位相因子の符号と誘電率・透磁率の虚数部
・分散:もう一つの視点
11.3 メタ材料を用いるRaman分光
11.3.1 電界と共振効果−コロイドと構造化表面
11.3.2 実例−センサなど
11.4 金属−誘電体構造化表面による利得と帰還
11.4.1 局部帰還と拡張帰還メカニズム
11.4.2 電界分布
11.4.3 実例−蛍光の増強とSPレーザ
11.4.4 むすび
・参考文献
略語表
訳者あとがき
付録:カラー図面集