「内燃機関」は、自動車・船舶・航空機など陸海空のあらゆる交通機関の「原動機」として、また建設機械・農業機械・発電用の「動力源」として、私たちの生活を基盤から支えるものです。同時に教育においても、機械工学系の重要な基礎科目となっています。
本書は各種の「内燃機関」を取り上げ、熱力学等の基本的な原理、構造・機能や作動原理等の実際をジェットエンジン、ロケットエンジンも含めて解説。
さらに、電子制御、燃料・燃焼、環境対策など、新しい知見について、各メーカーの実際の技術資料を参考として可能な限り取り入れました。
解説は、初学者を考慮して簡潔明瞭を心がけ、著者オリジナルの図を豊富に用い、メカニズムがよりビジュアルにわかるよう配慮しました。
なお、本文中の表現・表記は、自動車整備士養成校の教科書や自動車整備士受験用テキストに準じ、生産工場や整備の現場で用いられている馴染みやすいものにしています。
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274220821/
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1章 内燃機関とは
2章 往復動内燃機関の概要
3章 熱と熱力学
4章 内燃機関の性能
5章 燃料と燃焼
6章 ガソリンエンジン
7章 ディーゼルエンジン
8章 ロータリエンジン
9章 特殊応用内燃機関とハイブリッドシステム
10章 ガスタービンエンジン
11章 ジェットエンジンとロケットエンジン
12章 環境対策と代替燃料
1章 内燃機関とは
1・1 動力の発生
1・2 原動機
1・3 熱機関
1・4 内燃機関
1・5 内燃機関の歴史
1・6 原動機の未来
練習問題
2章 往復動内燃機関の概要
2・1 往復動内燃機関とは
2・2 内燃機関の分類
1. 作動方式による分類
2. 燃料供給方式による分類
3. シリンダの数による分類
4. シリンダの配列による分類
5. 用途による分類
2・3 往復動内燃機関の作動原理
1. サイクル
2. 行程容積
3. 圧縮比
4. 往復動内燃機関のpV線図
5. バルブタイミングダイヤグラム
2・4 往復動内燃機関の標準サイクル
1. オットーサイクル
2. ディーゼルサイクル
3. サバテサイクル
4. クラークサイクル
5. アトキンソンサイクル
6. ミラーサイクル
2・5 内燃機関の点火システム
1. 圧縮比と圧縮温度
2. 圧縮温度と自己着火の関係
2・6 ガソリンエンジンの作動
1. 4サイクルガソリンエンジン
(1) 吸入行程
(2) 圧縮行程
(3) 燃焼行程
(4) 排気行程
2. 2サイクルガソリンエンジン
(1) 上昇行程
(2) 下降行程
3. 4サイクルエンジンと2サイクルエンジンの比較
2・7 ディーゼルエンジンの作動
1. 4サイクルディーゼルエンジンの作動
(1) 吸入行程
(2) 圧縮行程
(3) 燃焼行程
(4) 排気行程
2. 2サイクルディーゼルエンジンの作動
(1) 掃気行程
(2) 圧縮行程
(3) 燃焼行程
(4) 排気行程
2・8 ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの比較
練習問題
3章 熱と熱力学
3・1 温度,熱量,比熱
1. 温度
2. 熱量
3. 比熱
4. 定容比熱と定圧比熱
3・2 気体の状態変化
1. ボイルの法則
2. シャルルの法則
3. 気体の状態式
4. 完全ガス
3・3 熱エネルギーと仕事
1. 熱力学第一法則
2. 内部エネルギー
3. 熱力学第二法則
3・4 熱力学サイクル
3・5 理想気体の状態変化
1. 定容変化
2. 定圧変化
3. 等温変化
4. 断熱変化
5. エンタルピー
6. エントロピー
7. ポリトロープ変化
3・6 カルノーサイクル
練習問題
4章 内燃機関の性能
4・1 エネルギーと仕事
1. 資源エネルギー
2. エネルギー保存の法則
3. 質量
4. 位置エネルギー
5. 運動エネルギー
6. 仕事
7. モーメント
8. トルク
4・2 エンジンの性能
1. エンジンの性能曲線図
2. エンジンのpV線図
3. 平均有効圧力
4. 図示出力
5. 軸出力
6. 正味平均有効圧力
7. 軸トルク
8. 正味熱効率
9. 燃料消費率
4・3 機械効率
1. 機械損失
2. 機械効率
3. 動力計
(1) 摩擦動力計
(2) 水動力計
(3) 電気動力計
4. 熱勘定と熱効率
5. 燃費換算
(1) 定地走行燃費
(2) 10モード燃費
(3) 10・15モード燃費
(4) JC08モード燃費
練習問題
5章 燃料と燃焼
5・1 燃料
1. 液体燃料
(1) ガソリンエンジン用燃料
(2) 石油エンジン用燃料
(3) ディーゼルエンジン用燃料
(4) ガスタービンエンジン用燃料
(5) ジェットエンジン用燃料
2. 気体燃料
5・2 燃焼と発熱量
1. 燃焼
2. 発熱量
5・3 燃焼に必要な空気量と燃焼限界
1. 混合比
2. 理論空燃比
3. 燃焼に必要な空気量
4. 充てん効率
5. 空気過剰率
6. リッチバーンとリーンバーン
7. 燃焼のしかた
(1) 火炎伝播燃焼
(2) 拡散燃焼
(3) 予混合圧縮自己着火燃焼
5・4 着火性,引火性と揮発性
1. 着火性
2. 引火性
3. 揮発性
5・5 ガソリンエンジンのノッキングとオクタン価
1. 異常燃焼とノッキング
2. オクタン価
3. アンチノック剤
5・6 ディーゼルエンジンのノッキングとセタン価
1. ディーゼルノック
2. セタン価
練習問題
6章 ガソリンエンジン
6・1 ガソリンエンジンの概要
1. ガソリンエンジンの構成
(1) エンジン本体
(2) 補助装置
2. ガソリンエンジンの燃焼過程
6・2 エンジン本体
1. シリンダブロック
2. シリンダヘッド
3. 燃焼室
(1) ウェッジタイプ
(2) ペントルーフタイプ
(3) バスタブタイプ
(4) ヘミスフェリカルタイプ
(5) 多球形
4. ピストン
(1) ピストンの構造
(2) ピストンの形状
5. ピストンリング
(1) ピストンリングの機能
(2) ピストンリングの種類
(3) ピストンリングの合い口形状
(4) ピストンリングに起こる異常現象
6. コネクチングロッド
(1) コンロッドの構造
(2) コンロッドベアリング
(3) ベアリングの材料
7. ピストンピン
(1) ピストンピンの機能
(2) ピストンピンの連結方法
8. クランク軸
(1) クランク軸の構造
(2) クランクジャーナルベアリング
9. フライホイール
10. クランクピンの配置と点火順序
(1) 2シリンダエンジン
(2) 4シリンダエンジン
(3) 6シリンダエンジン
(4) 直列8シリンダエンジン
(5) 奇数シリンダエンジン,水平対向型エンジン
(6) V型6シリンダエンジン
(7) V型8シリンダエンジン
11. バルブメカニズム
(1) バルブ開閉機構
(2) タイミングギヤとタイミングチェーン
(3) カム軸
(4) カム
(5) バルブ
(6) バルブスプリング
(7) プッシュロッド
(8) ロッカアーム
(9) タペット
(10) 可変バルブタイミング機構
6・3 吸気システム
1. エアクリーナ
2. 吸気マニホールド
6・4 燃料供給システム
1. 燃料の供給方式
2. 燃料フィルタ
3. 燃料ポンプ
4. キャブレター
(1) キャブレターの種類
(2) キャブレターの構成
(3) キャブレターの作動
(4) アマル型キャブレターの作動
6・5 潤滑システム
1. 潤滑の目的
2. 潤滑システム
(1) エンジンの潤滑
(2) 潤滑方法
3. 圧送式潤滑装置
(1) オイルポンプ
(2) オイルフィルタ
(3) オイルクーラ
(4) その他
4. 潤滑油
(1) オイルの作用
(2) オイルの性質
(3) 基本性状
5. オイルの性能規格
(1) エンジンオイルのSAE粘度分類
(2) エンジンオイルのAPIサービス分類
(3) JASO規格
6・6 冷却システム
1. エンジンの冷却
2. 水冷式冷却装置
(1) ウォータポンプ
(2) ラジエータ
(3) 電動ファン
(4) 冷却水と不凍液
3. 空冷式冷却装置
6・7 排気システム
1. 排気マニホールドと排気パイプ
2. マフラ
3. 排気ガスの利用
6・8 点火システム
1. バッテリ点火
2. 高圧マグネトー点火
3. イグニッションコイル
4. ディストリビュータ
5. コンタクトブレーカ
6. 点火プラグ
7. 点火時期とその調節装置
6・9 電子制御システム
1. 電子制御システムの系統
2. 各装置の作動
(1) センサ
(2) ECU
(3) アクチュエータ
3. 電子制御式燃料噴射システム
(1) ポート内燃料噴射システム
(2) シリンダ内燃料噴射システム
4. 電子制御式点火システム
(1) トランジスタ式点火システム
(2) セミトランジスタ式点火システム
(3) フルトランジスタ式点火システム
5 .マイクロコンピュータ式点火装置
(1) ディストリビュータ方式
(2) 直接点火方式
6・10 発電・充電システム
1. ダイナモ
2. オルタネータ
(1) 構造
(2) 発電の原理
(3) 整流
(4) ボルテージレギュレータ
6・11 バッテリ
1. バッテリの種類
2. バッテリの構造
3. バッテリの化学作用
4. バッテリの容量
5. 電気配線
6・12 エンジン始動システム
1. スタータ
2. スタータの構造
(1) 電磁ピニオンシフト式
(2) リダクション式
3. スタータの定格出力特性
練習問題
7章 ディーゼルエンジン
7・1 ディーゼルエンジンの概要
1. ディーゼルエンジンの構成
(1) エンジン本体
(2) 補助装置・補機
7・2 ディーゼルエンジンの燃焼
1. 4サイクルディーゼルエンジンの燃焼室
(1) 直接噴射式
(2) 予燃焼室式
(3) 渦流室式
2. ディーゼルエンジンの燃焼過程
3. 2サイクルディーゼルエンジンの燃焼室
(1) 単流掃気式燃焼室
(2) 複流掃気式燃焼室
7・3 燃料供給システム
1. 燃料供給ポンプ
2. 燃料噴射システムの方式
3. 燃料噴射ポンプ式システム
(1) 列型燃料噴射ポンプ
(2) プリストローク列型燃料噴射ポンプ
(3) 分配型燃料噴射ポンプ
4. 燃料噴射ノズル
(1) 燃料噴射ノズルの構造
(2) 噴射ノズルの種類
7・4 電子制御式燃料噴射ポンプ
1. 種類と構成
2. 制御システム
3. センサの作動
4. ECUの機能
5. アクチュエータの作動
7・5 ユニットインジェクタ式燃料噴射ポンプ
7・6 コモンレール式燃料噴射システム
1. 構成と作動
2. インジェクタ
3. サプライポンプ
7・7 ガバナ
1. メカニカルガバナ
2. 電子制御式ガバナ
7・8 タイマ
1. オートマチックタイマ
2. 電子制御式タイマ
7・9 エンジン始動装置
1. スタータ
2. 予熱システム
3. インテークエアヒータ
7・10 スーパチャージャ
1. 排気タービンターボチャージャ
2. 電気駆動式過給機
練習問題
8章 ロータリエンジン
8・1 ロータリエンジンとは
8・2 ロータリエンジンの原理
1. エピトコロイド曲線
(1) トコロイド
(2) エピトコロイド
2. 内包絡線
8・3 ロータリエンジンの構造
1. ロータハウジング
2. ロータ
3. エキセントリックシャフト(偏心軸)
4. サイドハウジング
8・4 ロータリエンジンの作動
8・5 回転動力の発生
8・6 ロータとエキセントリックシャフトの回転比
8・7 ロータリエンジンの燃料装置
練習問題
9章 特殊応用内燃機関とハイブリッドシステム
9・1 船舶用エンジン
1. 焼玉エンジン
2. 大型ディーゼルエンジン
9・2 農業用エンジン
9・3 自動車用ガスエンジン
1. 液化石油ガスエンジン
(1) 燃料供給装置の構成
(2) ベーパライザ
(3) ミキサ
(4) 用途
2. 圧縮天然ガスエンジン
3. 天然ガスエンジン
9・4 特殊応用内燃機関
9・5 ハイブリッドシステム
1. 燃料電池
2. ハイブリッドシステム
(1) 内燃機関と他の原動機との組合わせ
(2) 電気自動車のインフラ
練習問題
10章 ガスタービンエンジン
10・1 ガスタービンエンジンの原理
10・2 ガスタービンエンジンの構成
1. 空気圧縮機
2. 燃焼機
3. タービン
4. 熱交換器
10・3 開放サイクルガスタービン
1. 空気圧縮機とタービンの関係による分類
(1) 1軸式ガスタービン
(2) 2軸式ガスタービン
(3) 3軸式ガスタービン
2. 熱効率向上システム
(1) 再生サイクルガスタービン
(2) 再熱-再生サイクルガスタービン
(3) 中間冷却-再熱-再生サイクルガスタービン
10・4 密閉サイクルガスタービン
10・5 ガスタービンエンジンの性能
1. サイクル
2. 出力
3. 熱効率
10・6 ガスタービンエンジンの特徴
10・7 ガスタービンエンジンの用途
10・8 ガスタービンエンジンの将来
練習問題
11章 ジェットエンジンとロケットエンジン
11・1 噴射推進エンジン
1. ジェットエンジン
2. ロケットエンジン
11・2 ジェットエンジン
1. ジェットエンジンの種類
2. ターボジェットエンジン
(1) 構造
(2) 長所
3. ターボファンエンジン
4. ターボプロップエンジン
5. パルスジェットエンジン
6. ラムジェットエンジン
7. スクラムジェットエンジン
8. ジェットエンジンの性能
(1) 推力
(2) 軸相当馬力
(3) 燃料消費率
11・3 ロケットエンジン
1. 化学ロケット
2. 固体燃料ロケットエンジン
3. 液体燃料ロケットエンジン
(1) ガス押し式
(2) ターボポンプ式
4. 最近の日本のロケットエンジンの技術
(1) LE-7A型ロケットエンジン
(2) 主な装置
5. ハイブリッドロケット推進システム
11・4 噴射推進エンジンの歴史と未来
練習問題
12章 環境対策と代替燃料
12・1 内燃機関に起因する環境問題
1. 有害な排出ガス
2. 点火時期とシリンダ内圧力の影響
3. 排出ガスの発生傾向
12・2 排気ガス対策
1. ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの排出ガス対策
2. 有害な排出ガスを浄化する方法
(1) 機械的な改良方法
(2) 電子制御による浄化方法
3. 有害な排気ガスを浄化させる装置
4. 三元触媒コンバータによる有害ガスの浄化の例
5. 空燃比フィードバック制御の例
12・3 代替燃料の研究・開発
1. 低硫黄軽油
2. 圧縮天然ガス
3. バイオエタノール燃料
4. バイオディーゼル燃料
5. 水素ガス燃料
6. ジルメチルエーテル
練習問題
付録
付録1 SI単位の基礎知識
付録2 自動車整備士等資格取得について
索引